居住性の機能化は「ほどほど」が重要

 「健康住宅」という言葉や宣伝が近年目に付くことが多くなってきた。その中で、自然素材である木材が取り上げられることが少なくない。その背景には、人間という生物が住む生活環境には、生物である木材が適しているはずであるという素朴な思いが見られる。

 一方では木材などの素材とは関係なく、人工的に快適な室内環境の形成、あるい日常的に危険の少ないような配慮をした住宅などを健康住宅といっていることもある。

 そこには、人間の行動や配慮にあまり気を使わない制御、すなわち自動化、機械化などが主流になっている。

 しかしながら、生物で重要なことは基本的に楽な道を選択する。別の言い方をすると、楽な環境に順応しがちである。便利になると、その部分の機能や対応する心構えは退化してくる。

 人間の機能や、健康という観点からみると、その使い道を誤らないようにしないと、生物体としての順応を鈍らせる危惧も同居している。

 最近の住宅や生活の「これでもか、これでもか」の居住性の機能化をみると少々心配になる。

 住んでいるのは紛れもない生物体の人間である。特に、人間はいろいろな経験の蓄積をもとに考えて行動する。ものを考えなくすることや生物体の機能を低下させることを化学技術、先進技術と考えていないか、いささか気になる。

 いずれにしても、我々自身が問われているのは「ほどほどに」で、とりもなおさずそれがエコロジー、エコシステムの基盤であるからである。

           参考文献「65億人の地球環境」(産調出版)

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