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高さくらべ

 木造では、技術的に何メートルまでの建物が造れるだろうか、と聞かれればハテ、と戸惑う人が多いでしょう。

 日本で最も背の高い木造建造物は、ご存知大仏殿である。高さ48メートルのこの建物は、10階建てのマンションなどすっぽり入ってしまう大きさだが、こんな高い建物は今では造れない。建築基準法で高さ13メートル以上の木造建築を禁止しているからである。

 樹木はもともと背が高いものである。これを組み合わせてのことなら、かなり背の高い建造物が出来てよいはずである。樹高20メートル、30メートルという樹は珍しくも何ともないが、世界で一番背の高い樹木は、ギネスブックによれば、米国はカリフォル二ア洲ハムボルトのセコイヤで112.1メートルとされている。

 我が国でも九州に扶桑木という木があり、高さ9700尺と日本書紀に書いてあるから、これが本当なら世界一になる。もっともいくら古代尺が短かったとしても、これはいささかまゆつばのようだ。

 100メートルの立ち木があるなら、100メートルの丸太が建てられても、おかしくはない、というわけでもなかっただろうが、1915年サンフランシスコで行われたパナマ太平洋博覧会に、91.3メートルという世界一の大旗ざおが建てられている。

 風圧力に抵抗して樹木の根ばりほどの効力のある基礎や支持機構をつくるのは、当時としてはなかなか大変だったに違いない。樹種は米松であった。

 旗ざおは一本の棒でしかないが、米国陸軍は1951年に木造の高さ113メートルという無電塔を建設した。木造としたのは、塔自身が電波を反射しないからで、この辺にも木材の特徴が買われているわけだが、それはそれとして、この塔は角材とガゼットで組上げられていて、技術的にそれほど難しいものではない。

 3~4年ごとにペンキを塗ることと、毎年締具を締め直すだけで老朽の気配もないというから、木材ももっと胸をはっていいのである。そういえば英国リンカーン寺院には160メートルの木造の塔があったということだが真偽のほどは定かではない。

 このように技術的には、木造でどんな建物でも建てられることが出来る。それは鉄筋造りやコンクリートに比べてかなり軽いはずだから構造的にも有利であるに違いない。にもかかわらず、世間一般の人は、いや林業界や木材業界に席を置く人達でさえも木造で高層建造物はとても造れないと思い込んでいるようである。

 それは単に木が燃える、というところから火えん伝播性も火災抵抗(火に対する構造耐力の持続性)も区分せずに規制している建築基準法に問題がある、というよりは、火災と木造とをすぐ結びつけて連想する日本人の常識?のほうに問題があるのかもしれない。

 さらには近代技=コンクリート、あるいは金属という誤った技術観が問題なのではなかろうか。木は思いのほか火に強い。そして極めて構造的でもある。そして何よりも技術的に無限の可能性をもっていることを忘れてはならない。

             (参考文献「木材活用辞典」産業調査会)

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